便宜上、未来志向と未来思考の2つに分けて説明します。異なるのは、当事者の意識がどの時間に存在しているかの視点です。
◆未来志向の当事者意識は、現在に存在しています。現在から未来へ、意識の向いている状態です。
◆未来思考の当事者意識は、未来に存在しています。意識は未来に存在し、そして現在を振り返り思考している状態です。
あくまで便宜上の定義です。大切なのは区別することです。「正しい/正しくない」の話ではありません。異論あって当然だからです。焦点は活用法と期待効果にございます。
2つのバックキャスティング:未来志向
当事者は現在に存在しています。そして未来を志向している姿です。意識は現在に居ます。だから、逆算と云う表現が用いられます。
逆算でブレークスルーは起きません。逆算とは、裏どり、確認、検算などの位置づけです。プロジェクト計画などで逆算するのは、実現可能性の確認です。出来ない結果もありえます。未来志向においては「逆算してみたら出来なかった」という結論も生じてしまうのです。「現実的ではない」という反論、理論武装も出来てしまうのです。そもそも逆算可能な時点で、ブレークスルーの起きていない未来像という個人的な解釈です。
逆算という表現は、既成概念で理解しようとする習性と解釈しています。バックキャスティングの和訳が逆算ではないとする識別です。キャスティングは遠投で釣り上げるイメージです。
2つのバックキャスティング:未来思考
当事者意識は未来に存在しています。そして現在を振り返り、思考している姿です。未来視点なので、履歴と云う表現が適切です。だから、今居る未来へ至った歴史を語るのです。創造された確定情報です。事実として揺るがない、ブレないのです。
意識が未来に生きている時、その未来が現在になります。その現在へ到達した過程は、履歴として記録されています。本質的に逆算とは異なるのです。または、あえて未来に存在する意識で逆算するのなら、歴史を語る順番の逆行です。
2つのバックキャスティング:適合領域
未来志向は、命令された仕事をこなすのに役立ちそうです。外発的なモチベーションにつながります。
未来思考は、目的が合致した場合に、その共通の目的に向かうに役立ちそうです。内発的なモチベーションにつながります。
未来志向と未来思考、双方を活用するご提案です。
まず、順番が大切です。始まりに未来に行って思考します。その後に、現在に戻り未来を志向してみるのです。物理資源は所要量計算よろしく逆算するに吉なのです。人様に説明する際には、その計算結果が説得力を持つのですから。
次に、頻度も大切です。未来に行くのは特別な日付を選ぶのです。毎日行くのはリスキーですから。意識の戻らないケースもございます。慣れるまでは一年に一回など。慣れても月に一回ほどです。日常的には、方向性を確認するだけで十分です。
2つのバックキャスティング:本質的な課題へのアプローチ
未来思考バックキャスティングの本質的な課題は「いかに未来に存在するか」です。それが出来ない人々に納得して頂く必要もあり、未来志向バックキャスティングが定説化している個人的な解釈です。
焦点は意識で未来に行く方法です。次の書籍が参考になります。
意識を取り扱うイメージ・ストリーミングについて記述されています。留意点があるとしたら、脳に執着している傾向があることです。次図は個人的な解釈です。
イメージ・ストリーミングとは、想像の流れを生じる手法です。時間移動マシンや瞬間移動ルームなどを想像し、その流れを未来創造へ持っていきます。いわゆる瞑想状態などを活用して意識の世界へ入っていきます。
「後悔先に立たず」と申します。事前に後悔しないようイメージングしておくのです。「あの時にカツ丼さえ食べておけば勝てたのに!」と悔やまないようにです。
2つのバックキャスティング:孫子兵法の廟算
ところで「孫子兵法」における「廟算」とは、未来思考のイメージです。未来に位置して計算しているのです。未来に位置するために「廟」なのです。虚数項となる「勢」と「形」を計算に入れています。「詭道」は計算を補正するための注意事項です。戦術説明ではありません。そういう個人的な解釈です。孫子のスケールが落ちると、ワールドラインが変わります。
※孫子兵法を二次創作中です。進捗途中にてPDFで公開しています。
2つのバックキャスティング:まとめ
バックキャスティングでは、現在意識と未来意識の2つを識別して活用するのがおススメです。意識を未来に置いて思考するには、イメージ・ストリーミングが役に立ちます。
本アーティクルは、個人出版している次資料の紹介を兼ねた抜粋編集です。ギャップ分析や物量資源計画では逆算が重要となる説明、シナリオ・プランニングの例示などはこの資料に記しています。
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