般若心経の構造分析に観る目標達成フレームワーク

 当サイトの独自解釈では、般若心経には3段階の修行法が書かれています。その段階に対応するマントラ・真言が6つの咒として記されています。独自に構造分析した結果と、そこに観る目標達成フレームワークについて説明するのが本アーティクルの目的です。

※般若心経の PDF資料ダウンロードはダウンロードページを参照してください。
※般若心経に関する参考文献は参照資料ページに一覧しています。
※橘香道先生に関連する著作については参照資料ページに記述しています。

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般若心経の構造分析:目標達成フレームワーク

 まず、個人的な解釈の結論は次図です。

般若心経の構造分析:目標達成フレームワーク

 シンプルな言葉で説明する為に、菩薩様のお名前を使わせて頂いています。対応は、空海・般若心経秘鍵を参考に独自解釈しています。

 なお、ここではあえて観世音と記しています。観世音とは、光の波動を観るお姿です。観自在とは、光の粒子を観るお姿です。般若心経の日本現行版に書かれているのは観自在菩薩です。
 物質とは光の粒子が空間に閉じ困られた状態。その物質を観るお姿と、エネルギー状態を観るお姿にて、漢訳が区別されている解釈です。観自在菩薩さまは物質を眺めて深く行して、未単位エネルギーを観るに至り、観世音菩薩ともなったのです。こちらも個人的な解釈です、もちろん。

般若心経の構造分析:空海・般若心経秘鍵に観る菩薩の智慧

 概念的な集合を示唆するのに、空海が般若心経秘鍵に記した菩薩の智慧を用いさせて頂きます。換言すると、空海のカテゴリーにおける未単位エネルギー的存在・意識体にラベル付けされた菩薩様の名称を使わせて頂きます。勝手ながら、次表と読み取りました。なお、空海の般若心経秘鍵については別途アーティクルに記します。念のため、当サイト、仏学は素人です。専門知識が必要なら、当サイトではなく有識者皆様の知見を仰いでください。

 智慧真言備考
1普賢菩薩色不異空
空不異色
色即是空
空即是色
大神オン
サンマヤ
サトバン
2文殊菩薩不生不滅
不垢不浄
不増不減
大明オン
アラハシャ
ノウ
3弥勒菩薩是故空中無色
無受想行識
無眼耳鼻舌身意
無色声香味触法
無眼界乃至無意識界
無上オン
マイタレイヤ
ソワカ
4観世音菩薩無智亦無得以
無所得故
無等等オン
アロリキャ
ソワカ
5般若菩薩般若波羅密多般若波羅密多
羯啼 羯啼
波羅羯啼
波羅僧羯啼
プラジュニャー・パーラミター
ガーテー ガーテー
パーラー・ガーテー
パラサム・ガーテー
般若心経の構造分析:空海・般若心経秘鍵に観る菩薩の智慧

般若心経の構造分析:目標宣言と再帰宣言

 般若心経の構造を7つのブロックに分けて解釈します。これは5つのブロックを目標宣言と再帰宣言でサンドイッチにしている構造です。般若心経は、5の多重構造で出来ていますから。

 目標宣言として記されているのは、五蘊が皆空であることを知り一切の苦厄を度すること。個人的な見解にて、クウ・空とは安定した未単位エネルギー状態と認識しています。この空の理論を知ること、成ることにより、すべての苦厄を度すると読みます。

 苦厄とは苦悩と厄災のことです。苦悩は個人の内的世界で起こる事象。厄災は外の世界で起こる事象です。「度する」は「わたる」という意味。漢字「渡る」との異なりは、みずからの力でわたる姿勢を「度する」と云います。度とは計測することで、計測は自身の身体で測ります。転じて自力でわたる意味。いっぽう「渡る」は、他力にて「わたる」ことです。船頭さんが舟を漕いでくれるイメージ。サンズイ付いていますから。

 再帰宣言は「般若心経」です。これを「再び繰り返しなさい」と読み取ります。初心に戻り再び繰り返す。これが目標達成のフレームワークと認識した所以です。繰り返すことで成熟し、段階が上がっていきます。物質を観ることから始めるので観自在菩薩に戻ります。文殊の智慧に達すると、波動を観る、観世音の観点を得ている感覚と想像します。人により異なります。

 例えば、舎利子が2回出てくるのは、2段階の区別です。
 ところで面白いことに、サンスクリット版では、舎利子に相当する単語が3回でてきます。iha付2回だけが漢訳されています。これはサンスクリット版の著者が2層目の途中にいる未熟者だったと三蔵法師達が見抜いたから、という想像。もっとも鳩摩羅什の初訳においても舎利弗は3回出てきます。こちらはサンスクリット版とはまた異なる位置づけの3回です。このあたりは、比較資料を参照してください。別途アーティクルにも記します。

般若心経の構造分析:個人の苦悩と世界の厄災

 個人の苦悩に2段階あり、世界の厄災に取り組む段階に至り3段階目の修行法となります。まずは身体の苦悩を除く1段階目。次に精神の苦悩を除く2段階目へと続きます。これら2つを取り除いてボサツ・菩薩の領域。そして世界の厄災に取り組みます。仏学で云う、ニョライ・如来の領域へ。

 説明を簡略化するために、このアーティクルでは神智学の用語を使わせてください。いずれ他のアーティクルにて神智学/人智学の私見を記します。

  • 1段目はエーテル・フィールド。身体との対応。
  • 2段目はアストラル・フィールド。感情との対応。
  • 3段目がメンタル・フィールド。思考との対応。

 ただし、メンタル・フィールドの思考とは、一般用語の思考とは存在が異なります。1段目と2段目がクリアされた上で生じる思考です。例えば、感情を理論武装する思考ではありません。宇宙から降りてくる思考でもありません。みずからの体験を基に湧き出てくる思考です。意欲、ヤル気などの源泉です。だから、メンタル・フィールドが生じていない人々もおられます。例えば、IQ140以上においても、メンタル・フィールドとしての思考力がゼロの場合もありますから。頭が良いのは当たり前、何のために生きているかを問われる世界にございます。

 1回目の舎利子への呼びかけは、エーテル・フィル―ドに居るご自身への呼びかけです。2回目の舎利子への呼びかけはアストラル・フィールドに居るご自身への呼びかけです。得るところが無いを以って菩薩となります。その領域に入って初めて、世界の厄災へ進みます。

 なお、「無」を「区別が無い」と読み取ります。何も存在しない「虚無」ではありません。般若心経の解釈にて、もっとも厄介と感じるのは虚無感とする解釈です。ここは、物質となる粒子も、未単位エネルギーとなる波動も、十二支の未単位エネルギーで組成されている存在で、そこに区別が無いという次第です。

 おそらく、サンスクリット版般若心経を記した人物は2段目の途中です。身体は自在、ヨガの上級者クラス。異なるシステムに属する人々へは批判的な感情。例えば、サンスクリット版原作者の感情を尊重して意訳すると、シャーリプトラ・舎利子への呼びかけは「修行に失敗した者たちよ!」という具合。この程度に未熟な感情で記している解釈になるのです。しかし、師匠からシッカリ教わっているのでしょう、太古より伝わるホンモノの智慧と咒が記されています。玄奘や鳩摩羅什は、そこを見抜いて漢訳しています。もちろん個人的な妄想です。

般若心経の構造分析:3段階の修行法

 修行法の記される書物では、書だけではなく口伝とコツがセットになります。受け取り方は人により異なります。だから師匠からの一子相伝が基本です。念のため、一子相伝とは、一度に一人の弟子に相対して伝授すること。一人の弟子にだけ伝授する意味ではありません。

 1段階目の修行目標は身体の苦悩を度すること。これが1つ目の舎利子への呼びかけです。2段目の修行目標は精神の苦悩を度すること。これが2つ目の舎利子への呼びかけです。理論の部分は要点のみ記されている印象です。4つの咒は隠されているようです。

 身体と精神の苦悩を自力でわたり、その結果、ボダイサッタ・菩提薩垂になります。五蘊すべてが未単位エネルギーで組成されている世界を知り、自身を未単位エネルギーに変容させることの出来る状態です。そして初めて世界の厄災に取り組む準備が整います。

 3段階目の目標は厄災を除き続けていくこと。アノクタラサンミャクサンボウダイ・阿耨多羅三藐三菩提の状態に近づいていきます。そして、延々と続くだろう探究する目標は、アヌッタラー・サムヤックサンボーディに至ること。菩提となり、次に目指す状態へ使う咒が2つ記されています。内言と外言で同時に使うと読み取りました。個人的な解釈です。6つの咒については別途アーティクルに記します。

般若心経の構造分析:まとめ

 当サイトが独自に考察する、般若心経に観る目標達成フレームワークとは次項目です。

  • 目標宣言すること。
  • 達成するまで繰り返すこと。
  • 理論と実践、知行合一であること。
  • 段階的に取り組むこと。
  • 身体、感情、思考、3つの領域に展開すること。

 般若心経を深く行していくと、登場人物は自身1人だけだと気づきます。一霊四魂に例えるなら、自ら分けた自分の中で、一霊が四魂に呼び掛けているイメージ。だからこそ、個人の目標達成フレームワークの手本になると想像しています。ありがとうございます。

※四魂は易経の四象に対応します。いずれ別途アーティクルに記したい。

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